O del mio amato ben ああ愛する人の (Donaudy)ピアノ伴奏 -karaoke-
Donaudy(1879-1925)はイタリアの作曲家です。オペラや歌曲で有名です。
中でも「古典様式による36のアリア」は、代表作声楽を勉強する人はイタリア古典歌曲の次に学ぶ重要な作品です。作詞は弟のアルベルト・ドナウディ(1880-1941)が手掛けました
このO del mio amato benはそのアリア集に収められた1曲で、大変美しいメロディーにより最愛の人を失った悲しみが切々と歌われます。ピアノの前奏を弾いていても、いつもうっとりしてしまいます。
歌詞
O del mio amato ben perduto incanto!
Lungi e dagli occhi miei
chi m’era gloria e vanto!
Or per le mute stanze
sempre la(lo) cerco e chiamo
con pieno il cor di speranze…
Ma cerco invan, chiamo invan!
E il pianger m’e si caro,
che di pianto sol nutro il cor.
Mi sembra, senza lei(lui), triste ogni loco.
Notte mi sembra il giorno,
mi sembra gelo il foco.
Se pur talvolta spero
di darmi ad altra cura,
sol mi tormenta un pensiero:
ma, senza lei(lui), che faro?
Mi par cosi la vita
vana cosa senza il mio ben.
(和訳)
私の愛する人の、今はない魅惑よ!
もう私の目から、はるかに遠い、
私の誉れと誇りだったあの人は!
でも今なお、音絶えた部屋部屋で
いつも私は彼女を(彼を)捜し、呼んでみる、
望みに胸をあふれさせて・・・
けれど探しても甲斐なく、呼んでもまた甲斐ない!
それがため私には涙が慕わしい、
ただ泣くことだけに心の慰めを得ているのであれば。
彼女(彼)なくしては、私にはいずこも悲しく見える。
真昼も夜のように見え
厚い炎も氷のように。
たとえ時に、なにか
ほかに癒しを望んでも
ただ一つの思いが私を苦しめるばかり、
でも、あの人なしにどうすれば、と。
人生はこれほどに虚しく思われる、
私の愛するあの人なしには。
イタリア歌曲集
トスティ&ドナウディ歌曲集より引用
ピアノ伴奏へのアドヴァイス
全体的に八分音符の刻みの和音は決して機械的にならず、柔らかな音でメロディーを支えてあげて下さい。
あちこち現れる対旋律は、押し寄せる感情の波のイメージです。よく表現したいと思います。
また、4分の2拍子になる部分、特にrit.の32分音符は、歌い手さんによりかなりルバートするかた、割とあっさり進める方、色々ですので、伴奏者は合わせてあげて下さい。とはいえ、ピアノ的には右手に前打音、左手にアルペジオがあって、かなり情緒的な和声が書かれており、できれば歌い手さんにも(特に2番は)ドラマチックに表現してもらいたいところではありますね。
最終小節のピアノ伴奏部分は楽譜では八分休符の後八分音符が3つ、そして2分音符1つ分ですが、声楽の先生には八分音符は7つ(1小節分全部)に増やして弾くよう指示されます。
左手の最後の八分音符のA♭スタッカートはPPPで本当に繊細に弾きましょう。シフトペダルを離す記号が楽譜によって二つ書かれているのは、校正ミスだと思います(笑)